【受賞】幼妻は生真面目夫から愛されたい!
 隣にいるクラークも、黒いシャツに灰色のジャケット姿が、彼の黒髪に似合っている。
 螺旋階段をゆっくりと上り終えると、係の者にチケットを見せる。上映ホールの一番だと言われ、扉に大きく一と書いてある場所へと向かう。
 ホール内に入ると、照明がぼんやりと照らされていて、先ほどまでいたエントランスと比べると暗い印象を受けた。
 座席は階段状に並んでいるが、それぞれが区切られていてボックス席になっていた。座る場所も赤いソファになっており、テーブルまで備え付けてある。
「何か買ってこようか?」
 席を確認したクラークが尋ねてきた。
 どうやら、映画の上映中に飲んだり食べたりすることもできるようで、そういった売店がホールの外に設置されていた。
「飲み物を……」
 オリビアの言葉にクラークは「わかった」と頷く。
「君はここで待っていてくれ」
 颯爽と階段を上ってホールから出ていく彼の後姿を、オリビアは目で追っていた。
 彼の姿が見えなくなったところで、映画館とはどういった場所なのかをじっくりと観察してみることにした。
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