【受賞】幼妻は生真面目夫から愛されたい!
「長く不在にして、悪かった。君は、少し変わったか?」
 クラークがそう思うのも無理はない。何しろ、今日のオリビアは大人な女性なのだ。
「そうですね。先日、十八回目の誕生日を迎えましたので」
 オリビアがそう口にすれば、クラークの顔には盛大に「しまった」と書かれていた。
 この国において、結婚は十六歳からできるが、成人は十八歳である。だから成人する前の結婚には、親の同意が必要なのだ。
「そうか……。君も十八になったのか。何も準備ができなくて、悪かった」
「いえ、お気になさらず。旦那様、上着をお預かりいたします。着替えますか?」
「そうだな」
 クラークは上着を脱ぐと、オリビアに手渡した。
「では、お手伝いいたします」
「君が、か?」
「ご不満ですか?」
「いや……」
 どことなくクラークの動きがおかしいような気がしたが、オリビアは彼の後ろを一歩半はなれてついていく。
 すると、クラークはそんな彼女が気になるのか、ちらちらと五歩進むたびに後ろを振り向いてくるのだ。
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