※エリート上司が溺愛する〈架空の〉妻は私です。
「よければ少し休憩しませんか?アイスティーでも作ろうかと思っていたんです」
「ありがとうございます。いただきます」
静流の返事を受け、紗良は早速二人分のアイスティーの作成に取り掛かっていく。
アイスティーに適した品種というものはないとされている。抽出した時に色が濁りにくいものが美しくて良いとも言われてもいるが、結局は本人の好みによる。
紗良の好みはアールグレイだ。
作り方は簡単。
ホットを作るよりも多めに茶葉を準備し、ホットティーと同じ要領でお茶を淹れる。蒸らす時間を短めにするのがコツだ。
あとは、あらかじめ氷を入れておいた別のポットに茶漉しをセットし、熱々のホットティーを注ぎ入れて手早くかき混ぜる。
直ぐに飲まない場合は冷蔵庫で冷やしておくが、今日は氷を入れたグラスに注ぎ入れる。
「どうぞ」
静流はアイスティーを飲むと、驚いたように目を見張った。
「美味しい……」
「茶葉から淹れると水出しとは全然違う味になるんですよ」
アイスティーを飲み干すと、カランとグラスの中で氷が踊った。開け放っていたベランダの窓から、心地よい風が吹き込んでくる。紗良が住む十階のこの部屋は景色が良いだけでなく、涼しい風にも恵まれている。洗濯物も良く乾いた。いい日になりそうだ。