※エリート上司が溺愛する〈架空の〉妻は私です。
静流が引っ越してきたからあっという間に一週間が経った。
日曜の夜、紗良は一緒に食後の紅茶を飲んでいる静流に尋ねた。
「明日からお仕事ですよね?何時ごろ家を出る予定ですか?」
「初日なので早めに出ようと思っています。新しい職場はみなとの丘駅にあるので、七時半頃出ようかと」
「みなとの丘駅?じゃあ私と一緒ですね。七時半頃家を出るなら八時過ぎには着きますよ?始業は九時からですよね?」
「早めに出て散歩でもしてきます」
さすが、仕事も出来る(予想)男は違う。いつもギリギリで改札を駆け抜ける紗良とは雲泥の差だ。
「散歩するなら北口から出てすぐのところに海が見える公園があるのでおすすめですよ」
「それは良さそうですね。行ってみます」
入社以来、六年間もみなとの丘駅に通勤している紗良は他にもおすすめの飲食店やコーヒーショップを静流に教えた。
(初出勤、上手くいくと良いな……)
元の職場で色々あったと聞いていたからこそ、余計にそう思った。