※エリート上司が溺愛する〈架空の〉妻は私です。
(もしかしてヤキモチ?)
忘れろと言われても忘れられるはずがない。
平気そうにしていたのに実際は悔しくてたまらなかったのだと思うと、頬がだらしなく緩む。
吉住相手に嫉妬心を丸出しにする静流がたまらなく愛おしい。
吉住には悪いが対外的なスペックだけを比較したら静流に軍配が上がるだろう。
にもかかわらず、静流が不安を覚えるのはそれだけ紗良に惜しみない愛情を注いでいるに他ならない。
(ああ、私……静流さんのことが……)
ドキドキと早鐘を打つ心臓を必死になって落ち着ける。
「あ、の……。ご迷惑でなかったら今日は静流さんの部屋で寝てもいいですか?」
「別に構いませんが……急にどうしたんですか?」
紗良は背伸びして静流の唇に触れるだけのキスをした。自分からするのは実は初めてだった。
「もっと静流さんを身近に感じたい……です……。貴方のことが好きだから……」
静流に抱きつきキスの続きをねだると、もう顔がまともに見れなくなる。この人が欲しい。紗良を欲しがる静流を見てみたいという欲求で頭が支配される。
「静流さんにも私を信じて欲しい……」
紗良を好きだと示してくれる静流の気持ちに報いたい。好きだと感じてもらいたい。
静流はゴクリと生唾を飲み込んだ。
「シャワーを浴びるのでベッドで待っていてください」