※エリート上司が溺愛する〈架空の〉妻は私です。
「はあ……」
翌日、紗良は仕事中にも関わらず昨夜の艶事を思い出し甘いため息をついた。
身も心も蕩けるような本当に素敵な夜だったとしみじみ思う。
それまでたくさん焦らされた分だけ、熱く燃え上がってしまった。
それは静流も同じだったようで、まどろみの中身体が疼くたびに心のおもむくまま求め合った。
正直、仕事がなければあのまま一日ベッドの中で過ごしていたかった。
(紗良って呼んでもらえて嬉しかったな……)
普段は敬語だし呼び捨てなど絶対にしないのに、ベッドの中では全てをかなぐり捨て本能のままに紗良を欲しがってくれた。
そのギャップがまたいいんだよな……と紗良はまたはにゃーんと頬を緩めた。
身も心もひとつになり、今ならなんだってできそうな気分だった。
そんなかつてないほどにやる気に満ち溢れた紗良に月城チームの期待の新人、桐生がおずおずと話しかけてくる。
「あの……三船さん、今よろしいでしょうか?」
「うん、なあに?」
「三課の方から月城さん宛の見積書をお預かりしたんですけど、見積書に記載されている数量が客先からの要求と違うんです……」
「本当だ……」
桐生の言う通りだった。
客先からの発注依頼と月城の指示は十ロットで合計百個となっているにも関わらず、三課の担当者が作った見積書では単に十個になっている。
課をまたがる依頼では時々あることだ。