※エリート上司が溺愛する〈架空の〉妻は私です。
(ここまできたら下も脱がすか……)
謎の使命感を発揮した紗良がベッドにのり、黒の革ベルトに手をかけようとしたその時だった。
それまで大人しく紗良の思うがままになっていた静流が急にむくりと起きだした。
「ひっ……!!」
紗良は小さく悲鳴を上げた。静流は虚ろな瞳で紗良の手を掴んだかと思うと、ふらふらと左右に揺れた。そして、静かに紗良に向かって倒れてきた。
「あ、え?し、静流さん!?」
紗良は静流を受け止める形で一緒にベッドに倒れ込んだ。静流の精巧な造りの顔が間近に迫り、バクバクと心臓の鼓動が大きくなる。
首筋に息が吹きかかり、癖のない真っ直ぐな髪が頬を撫でくすぐったさで身を捩る。
(寝てる……んだよね……?)
ペチペチと頬を軽く叩いても、静流は一向に起きなかった。一瞬、押し倒されたのかと思った。ドキドキして損した気分!
紗良は静流を起こさないようにベッドから這い出た。脱がしたジャケットとワイシャツをハンガーに掛け、静流の顔から眼鏡を外しサイドテーブルに置いた。
「おやすみなさい、静流さん」