※エリート上司が溺愛する〈架空の〉妻は私です。
翌朝、朝食と洗濯を済ませた紗良は身支度を整え、静流が起きてくるのを待っていた。
時刻は既に十一時を回っており、お日様がさんさんと照っている。休日でも七時には起床する静流がまだ起きてこない。
三十分後、ようやくリビングにやって来たかと思うと、辛そうに頭を押さえていた。
「おはようございます。二日酔いですか?」
「はい。昨日、二次会で月城さんと、木藤さんに注がれて……」
話を聞くと、二次会では惚気話を通じてすっかり打ち解けた月城に次から次へと日本酒を注がれたらしい。
途中で木藤も参戦すると、あとはお察しだ。
「あの二人は無類のお酒好きなんで、次からは断ればいいと思いますよ。嫌がる人には強要しませんから」
「次からはそうします」
営業という仕事柄、接待で酒を飲むことも多く、盃を断りにくかったのだろう。相手がこれから親睦を深めたいと思っている部下ならなおさらだ。
「お昼ご飯作って冷蔵庫に入れてあるので、食べられそうならどうぞ」
紗良はそう言いながら薄手のコートを羽織り、トートバッグを肩に掛けた。
「お出かけですか?」
「はい、夕飯は食べてくるので要りません」
紗良はそう言うと、二日酔いに苦しむ静流を残し出掛けたのだった。