※エリート上司が溺愛する〈架空の〉妻は私です。
「今日もご馳走様でした」
美味しい夕食でお腹もいっぱいになり、紗良は幸せだった。
「あ、そうだ。これ持っていかない?実家から送られてきたんだけど、二人じゃ食べきれなくて……」
「いいんですか!?嬉しーい!!」
弥生が見せてくれたダンボールの中にはりんごが山盛りで入っていた。薄くスライスして紅茶に浮かべればほどよい酸味のアップルティーになる。紅茶で煮ても美味しいかもしれない。
弥生にりんごを選別してもらっていると、友成から声を掛けられる。
「紗良ちゃん、スーパー行くついでに家まで車で送っていこうか?」
「いいんですか?」
「電車で持って帰るには重たいでしょ?そのりんご」
紗良は友成の言葉に甘え、車で送ってもらうことにした。お裾分けしてもらったりんごを後部座席に置き、助手席に乗り込む。風間夫妻の家から紗良の家までは車でニ十分ほどの距離だ。
「紗良ちゃんが手伝ってくれるようになって凄く助かってる。いつもありがとう」
「私こそ弥生さんにお世話になりっぱなしなんです」
「弥生は紗良ちゃんのことを妹みたいに思ってるからね。つい世話を焼いてしまうんだよ」
車を運転しながら、友成ははははと声を出して笑った。
友成は弥生を愛してやまない本物の愛妻家だった。風間夫妻は紗良にとっては理想の夫婦像そのもの。その二人と時を過ごすことは紗良にとっても喜びだった。