※エリート上司が溺愛する〈架空の〉妻は私です。
(うわあ……。もったいない……)
静流なら引く手あまただろうに本人は全く興味なし。既婚未婚は別として、このがっついていない感じが余計に女性を惹きつけるのだろうか。
「じゃあ、逆ならどうです?素敵な女性の方からぐいぐいっと迫られたら心が動きませんか?」
「紗良さんと違って私は肌身離さず指輪をつけています。私に言い寄ってくる女性がいたら、それは他人から夫を略奪してもいいと考えている女性ということになります。そんな女性に好意を抱くはずがないでしょう?」
ぐうの音もでない。完膚なきまでの正論だ。紗良はむうと口をへの字に曲げた。
「もしかして、そんな不届き者に心当たりがあるんですか?」
「いえっ!!滅相もございません!!」
木藤が静流に恋心を抱いていることは絶対に内緒だ。ましてや、紗良が脈ありか脈なしかを探ろうとしているなんてバレてはいけない。
「それでは紗良さんに恋人にしたい男性が現れたんですか?」
「ハハハ。ご冗談を!!初めに言ったじゃないですか。カフェを開きたいから頑張って貯金しているって。他のことにかまけている時間なんてありません」
平日は仕事、休日はスピカで働く紗良には男性との出逢いを求める気概もなければ時間もない。
しかし、世の中には万が一ということもある。
紗良にだって静流にだっていつ運命の人が現れるかわからない。