※エリート上司が溺愛する〈架空の〉妻は私です。
「静流さん、このルームシェア生活にひとつ条件をつけ加えませんか?」
「条件ですか……?」
「はい。どちらか一方に好きな人が出来たら、<架空の>妻を演じるという契約もルームシェアも解消するということにしませんか?」
この生活は永遠には続かない。終わりはいつだって否応がなしにやってくる。その時は後腐れなく終わらせることが肝要だ。
「……分かりました」
静流は紗良の提案に納得し頷いてくれた。
「あ、でも安心してください。今のところそんな気配は全くないのでしばらくは架空の妻をしっかり演じさせて頂きます」
「それはありがたい。今後ともよろしくお願いします」
新たなルールに合意した二人は互いに頭を下げ合った。
(とはいえ、木藤さんに悪いよなあ……)
木藤の秘めた想いに気づきながらも、この生活を続けていくことに紗良は後ろめたいものを感じていた。