※エリート上司が溺愛する〈架空の〉妻は私です。
その日の夜。静流が作った鳥肉のクリーム煮に舌鼓を打っていた紗良は、静流から月城と同じ質問をされた。
「紗良さんはクリスマスはどう過ごされる予定ですか?」
「特に予定はありません。平日なので普通に仕事して帰宅するつもりです」
本当ならスピカにお客としてお茶を飲みに行きたいところだけれど、クリスマスイブとクリスマスは超がつくほどの掻き入れ時だ。
スピカの落ち着いた雰囲気は大人のデートにぴったりでイベント時はすぐに満席になってしまう。目が回るほど忙しく、弥生に店主を譲ったはずの弥生の父まで接客と給仕に駆り出されるほどだ。
そんな弥生に紗良の相手をする精神的余裕はない。
「予定がないなら一緒にケーキでも食べませんか?外で食事とはいきませんが、お酒とデリを買って家で食べるぐらいはしてもいいと思いませんか?」
「えと……それってクリスマスパーティーのお誘いですか?」
紗良は目をパチクリとさせた。まさか静流の方からクリスマスパーティーを提案されるとは意外だったのだ。
「はい。紗良さんにはケーキの準備をお願いしたいのですが……」
「わかりました。予約しておきます!!」
てっきり一人で過ごすものだとばかり思っていたのに予想外の予定が入り、紗良の心はワクワクと浮き立った。