ジェラシーを彷徨わせて


🪷


「〜〜〜っ、ばか!!!!」


真っ赤に熟れた頬、不安定にゆれる瞳は涙で潤んでる。


噛みしめるみたいに引きむすんだ唇を震わせたまま、ばかみたいに俺だけを見上げる。



透明で綺麗な世界に、自分だけが映って、存在している。そういう甘美な感覚は一度覚えると、もっと厄介な欲求を引き連れてくる、………しぬほど単純で、どうしようもない。


「……〜〜きょうは先行くから、」


一瞬、緩んだ隙を捉えるように腕の中から抜け出した涙花は、べ、と泣きそうな顰めっ面でいつもの威嚇をすると、トタトタと小動物みたいな足取りで部屋から出て行行った。


「……はー、」
 

あー置いて行かれた、とか、いま何時、とか……、くそどーでもいいことは一旦隅に置いておくとして。


「なにあの愛しい生き物、……かわいさバグかよ」


─────なんか、もう、好きすぎてキレそう




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