ジェラシーを彷徨わせて
「……あついね、涙花」
あらわになった耳朶をなぞるように指を這わせて、やわく、糖度の高い声で鼓膜を揺らす。
………あつい、って、今何月だと思ってるの?
そんなセリフ、頭の中に浮かび上がっても口に出す余裕なんて一欠片も残ってないし、こうやって指摘されると自覚せざる負えなくなる。
「……しら、ない……」
触れられたところが燃えあがるみたいな熱を纏うのは、ぜったいわたしのせいじゃない。ぜんぶ、凪がわるい。
「あついの、なぎのせい、……〜〜っ、ばか!!!」
――――――――責任をとってほしい。
こんなにどうしようもなくさせたのは、凪なのに。