ジェラシーを彷徨わせて

────ああ、もう。ちょっとだけ、凪の言いたいことがわかってしまった


どんなテストを受けても、きっと、わたしには凪だけなんだ。凪のことをいちばん分かっているのはわたしで、凪以上にわたしを分かってくれているひとが、いるわけない。



『涙花は俺がいないとだめ』
……俺も、おまえがいないとだめだわ。



ぬくもりをそのまま溶かしたみたいな声で、ぽつりと零されたセリフ。


ぽろぽろと我慢していた涙が溢れ出して、あっという間に凪のシャツを濡らしてしまう。そんなわたしに凪は、ほんと泣き虫、っていじわるな顔で笑って。



『、ありがと、なぎ……』
　

………声にならないくらい小さな囁きは、凪に聞こえてたのかな。そのあと、お返事をするみたいにぎゅ、と抱きしめてくれた腕は、やっぱりずるいくらいにやさしかった。