ジェラシーを彷徨わせて
「……っ、や、」
「なに、聞こえねえ」
「!…………きらい!」
「なんかキライ?とか聞こえたけど空耳?ん?」
「き ら い ! 」
隙をついて抜け出して、ばっ、と凪から距離を取る。俯きながら不覚にも火照った頬をぱたぱたと仰ぐ。
「……や、やっぱり清楚系の女の子がすきなんだね、凪は」
きゅっとくちびるを噛みながら、そっぽを向いて意味もなく視線を彷徨わせる。無意識に速まった鼓動をどうにか落ち着かせたくて、だんだんと饒舌になってしまう。
「……せいそ?」
「っ、だから、きのう凪が……!なぎが、言ってたから」
「、何を?」
「え、それをわかってて言ってたんじゃないの……?」
「?」
偶に、凪と会話が噛み合わないことがある。そしてその場合、8割型、私がひとりで空回っているから、不本意なの。