大江戸ガーディアンズ
『町家の者を……囮に、でござるか……』
兵馬の頭に真っ先に浮かんだのが、岡っ引きや下っ引きの連中であった。
『あぁ、それもできる限り奉行所の息の掛かってねえ者がいいんだがな。
身を変装すことに長けた隠密廻りみてぇに立ち回ることができるのならばいざ知らず、訳知り顔でうろちょろされた暁に、もしも向こうに気付かれでもしちまった日にゃあ、目も当たらんねぇからよ』
されど——
さすれば岡っ引きも下っ引きも大っぴらには使えなくなってしまう。
『そうだな……』
多聞は懐手をして考え込んだ。
『……もともと奉公している見世の奴なんかが囮になってくれたら、一番都合が良いんだがな」