大江戸ガーディアンズ
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引手茶屋から「娼方(あいかた)」と連れ立って戻ってきた羽衣は、見世から与えられている座敷部屋のうち、だれにも立ち入らせないようにして我が身だけが使っている部屋へと入った。

此処(ここ)(たばこ)を一服している間に、御座敷の支度も整うであろうと云う算段だ。

三畳ほどしかない、まるで鰻の寝床のごとき部屋ではあるが、何故(なぜ)か羽衣にとっては妙に落ち着くのだ。

ただし、幾人ものいる娼方の中で、唯一無二のお方である浅野 近江守であっても入らせぬ。

この細っこい身体ひとつで見世の屋台骨の一本となり、いろんな人たちを養ってやっているのだ。このくらいの「贅沢」、(ゆる)してもらえるであろう。


かろうじて畳敷きではあるが、莨盆と火鉢と行燈しかない殺風景な部屋で……

絢爛豪華な「遊女」のまま、羽衣は腰をすっ、と下ろした。

そして、持ってきた火皿から行燈へ火を移すと、莨盆を手許(てもと)に引き寄せた。

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