大江戸ガーディアンズ
「いったい、何の用でなんしかえ」
羽衣は動じることなく彦左に問うた。
「わっちとあんさんとは、ほとんど話もしたことがありんせん」
「そうだな……羽衣、あんただけは何故か絶対に傍に寄らせてもらえねぇかったからな」
彦左は今まで一度たりとも、羽衣から化粧も着付けも頼まれたことがなかった。
「せっかく、あんたに近づくために『男衆』になったってぇのによ」
羽衣は莨をひと呑みして、紫煙を吹かす。
「あんさんには……『気配』ってもんがありんせん」
羽衣はやはり「武家の娘」であった。
なにか武道の手解きを受けてきたわけではない。されど、自ずと相手の性質を我が身に近づく「気配」で察していた。
「気配がありんしたら、心算もできなんしが、あんさんではできかねのうなんし」
「じゃあ、何で納戸におれが入ってるって判ったんだい」