大江戸ガーディアンズ
だが、しかし——
目の前の彦左は人が入れ替わったみたいに「別人」だった。
ずっと、なにやらぶつぶつと経文でも唱えているかのように忙しく口を動かしている。
——奉行所とっ捕まったから、こうなっちまったんだろうか……
それでも、与太は彦左に話しかけた。
「なぁ、彦左……おめぇが『髪切り』だったとはな……」
与太は、彦左のことにしても、親分の伊作のことにしても、まだすんなりとは飲み込めないのだ。
「おめぇはよ、おすてとおいらがいるとき、いっつも邪魔しやがってさ……
いけすかねぇ奴だって思ってたけど、おいらが『髪切り』をとっ捕まえるのには力を貸してくれそうだったのによ……」
——おいらはこいつをとっ捕まえるために、動いていたってのかよ……
「お……すて……」
彦左がいきなりおすての名を呼んだ。
そして、カッと目を見開いた。