大江戸ガーディアンズ

与太は井戸へ向かって走った。

水を汲み、全身にその水をぶっ掛けた。


「お、おい、与太。なにをしておる」

追いかけてきた島村に、

「旦那、その羽織、ちょいと貸しておくんなせぇ」

と云うや否や、同心の黒羽織を引ったくった。


そして、それも桶の水の中にじゃばじゃば濡らすと、五条大橋の牛若丸よろしく頭からすっぽり被った。

あっと驚く韋駄天(あし)で、燃え盛る久喜萬字屋へ一目散に駆けて行った。

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