大江戸ガーディアンズ
美鶴が廻し部屋に入ると、なるほど肌着である「湯文字」一つない素裸の、まだ幼さの残るいかにも「初見世」らしいおなごが、三人寄り添うように蹲っていた。
廻し部屋は大部屋で、屏風などを衝立てて各々が「仕事」をするのだが、この様では慌てたお客がなぎ倒して逃げて行ったのがよくわかる。
最前まで春を鬻いでくれていた妓すら、なぎ倒して逃げたのではあるまいか。
「苦界」と呼ばれる吉原で、生娘でいられて歌舞音曲に精進できて和漢書など学問が学べる「振袖新造」は奇跡だ。
美鶴が舞ひつるとしてさようなことができたのは、「この妓」たちが美鶴の代わりにたった一つしかないその身体を張ってお客を引いてくれたお陰だ。
だからこそ、美鶴——舞ひつるは助けに参ったのである。
恩返しである。
「なにをしていなんし。早うお逃げなんし」
美鶴はさように云いながら、まず「牛若丸」を一人のおなごに放った。