大江戸ガーディアンズ
——なんだっ、火事場風か。
咄嗟に身構える。
火事場風とは、火事の起こった場処でしばしば吹く旋風である。
火事場風が吹くと一気に炎が燃え上がるため、厄介なのだ。
其れこそ命に関わる。
されども、「風」ではなかった。
先刻まで、与太の周りにはだれもいなかったのに、いきなり目の前に現れた。
そして、いっさい躊躇うことなく、どんどん進んでいく。
「お、おいっ、これ以上進むと危ねえぞっ」