大江戸ガーディアンズ

——なんだっ、火事場風か。

咄嗟に身構える。


火事場風とは、火事の起こった場処(ばしょ)でしばしば吹く旋風(つむじかぜ)である。

火事場風が吹くと一気に炎が燃え上がるため、厄介なのだ。

其れこそ命に関わる。


されども、「風」ではなかった。


先刻(せんこく)まで、与太の周りにはだれもいなかったのに、いきなり目の前に現れた。

そして、いっさい躊躇(ためら)うことなく、どんどん進んでいく。


「お、おいっ、これ以上進むと危ねえぞっ」

< 265 / 316 >

この作品をシェア

pagetop