殿下が恋をしたいと言うのでさせてみる事にしました。婚約者候補からは外れますね

 馬車を降りると見慣れた王宮のメイドが、お茶会の会場となるサロンに案内してくれました。サロンに着くと殿下がパァーっと笑顔を綻ばせながら迎えに来るので、困惑してしまいます。こんな事は初めてです。


「カテリーナ! よく来てくれたね」

「本日はお招きいただきありがとうございます」

 淑女の礼をすると、それはそれは嬉しそうに私を眺めているではありませんか。どういう事か分からずにノーマンの顔を見ると肩を竦められた。

「さぁ座って」

 机を挟んで殿下の向かいの席に座りました。

「カテリーナ、遅くなってしまったがまずは入学おめでとう」

「ありがとう存じます」

「学園で困った事はない? 何かあったら相談に乗るから遠慮なく言って欲しい」

「お気遣いいただきありがとう存じます」



「……カテリーナ、最後に会った時のことを覚えているか?」

 気まずそうな様子です。

「はい、もちろん覚えております。殿下が恋を、」


「ストップ! 言わなくて良い……」


 手で制されてしまいましたので、どうしてと首を傾げてしまいました。

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