サイコな本部長の偏愛事情(加筆修正中)
ビジネスクラスは事前搭乗の乗客の後に優先的に先に搭乗することになっていて。
機体の前方入口ドア部分に待機しているCAが座席まで案内し、アメニティー等の説明をしてくれる。
習慣って怖い。
初めて乗った時は、至れり尽くせりで終始緊張したけど、こうも毎回だと『大丈夫です』とCAを煩わせないようにさっさと座席に座って、イヤホンしながら論文を読み始める。
一種の『放置して下さい』的なオーラを醸し出す為に。
今日も座席に座って論文を取り出した、その時。
「こんにちは、本日ビジネスクラスを担当致します、大槻と申します」
「あ、はい。宜しくお願いっ……します」
どこかで見たことあるような……?
上品な感じのCAは、私の足下に掛ける用のひざ掛けを手にしている。
「有難うございます」
「御用の際は遠慮なくお申し付けください」
手指を綺麗に揃えて、丁寧にお辞儀をする彼女。
………思い出した。
彼の元彼女だ。
『夏目千佳』とインプットされていたから、ピンと来なかったんだ。
結婚して、苗字が『大槻』になっている。
昔は結婚したらCAを引退する人が多かったけど、今の時代は結婚しても続ける人が多いのね。
そんなことを思いながら、テーブルに発表用の原稿論文を広げた。
***
夕食用の機内食を食べて、食後の珈琲も頂く。
そして、お茶のお供にとちょっぴり贅沢なお菓子が運ばれてくる。
珈琲のおかわりをして、そのお菓子を食べていた、その時。
『ご搭乗のお客様に操縦室からご案内申し上げます……』と機長アナウンスが始まった。