サイコな本部長の偏愛事情(加筆修正中)

怒気を含んだ俺の声に驚いた彼女は、少し怯えるような表情を浮かべた。
そんな彼女の耳元で呟く。

「特別に夜景を見せてやったから、彼女気どりか?」
「ッ?!」

俺の言葉にキッと睨み返す。
だが、このまま引き下がるわけにはいかない俺は、彼女の顎部分を鷲掴みし、より一層高圧的な態度で警告をする。

「勤務中の俺に話し掛けるな」
「っ……」
「次、仕事以外のことで話し掛けたら、ただでは済まさないぞ」
「……」
「分かったか」

こくりと小さく頷いた彼女。
睫毛が濡れ、視線を逸らした。

拘束する手を離し、顎で合図する『もう行け』と。
彼女はギュッと唇を噛みしめて、その場を後にした。

*****

「ごめんっ、遅くなった」
「何かあったんですか?」
「ううん、ちょっと混んでて」

クリニックに到着した時には既に十三時を過ぎていて、完全に遅刻をしてしまった。
荷物をロッカーに入れ、髪を纏め、白衣に袖を通す。

数分前の出来事を思い出し、足が震えた。

勤務中の真剣で強張った表情を何度も見たことがあるが、さっきのはそれとは桁違いの怖さがあった。
思い返しても恐怖でしかない。

心配で診察もどきをしただけなのに、あんなに怒ることないじゃない。
それも、人気のいないところにわざわざ連れ出してまで。

他のスタッフの目があったからなのかな。
それにしても、やり過ぎな感じがする。

もしかしたら、……ううん、違うわ。
他言無用と酒井さんが言ってたくらいだから、体調不良を他の人に悟られちゃまずいってこと?
それって、心配かけちゃまずいの域を越してるでしょ。

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