サイコな本部長の偏愛事情(加筆修正中)
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財前本部長の診察をするようになって一カ月が過ぎようとしていた。
すっかり慣れたもので、私が早番の時は事前にフロアを人払いしておき、本部長室で診察を。
中番の時は出勤前の彼の家で診察を行い、遅番の時は退勤後に車内で処置して帰宅するルーティーン。
一番厄介なのは、非番の日の診察だ。
私が早くに起きて彼の家に行けば済むのだけれど、わざとなのか分からないが、非番の日に限って彼は早朝出勤したりする。
退社時間を確認するメールを送っても『分からない』の一点張りだし。
これって、嫌がらせだよね?
酒井さんが『少し変わってる人』と言ったけど、少しどころじゃない。
私から見たら、完全に病的の域の人にしか見えない。
精神科が専門ではないから詳しくは診断がつかないけれど、恐らく『強迫性障害』なんじゃないかと思う。
点滴中に同じ書類を何度も確認したり、温度や本数とか数字にも拘りがあるし、珈琲にしたって豆の種類だの砂糖の量だの。
理解のある人じゃなければ、対応しきれないと思う。
非番の今日は、彼の退社後に診察することになっていて、こうして彼の部屋で帰宅をただただ待つのみ。
早朝に診察することも多いからと、暗証番号を教わった。
彼女でもないのに、彼の帰宅を待ち続けるって……ある意味、拷問。
だって、拘りがあるから、物を動かすことも出来ない。
じっとソファーに座ってスマホで動画を観るか、持参した雑誌を見るか。
とにかく、出来るだけ動かずにじっと待機しておかなくてはならなくて。
彼からの連絡があるのを今か今かと待ち侘びている。
せっかくの休みなのに~~。