【受賞】隠された王女~王太子の溺愛と騎士からの執愛~
それに引き換え下の兄のセヴェリは、父親によく似ていて身体が大きい。肌がよく焼けているのも、外での仕事が多いからだろう。赤茶の髪が少しくせ毛であるのは、父親からの遺伝によるもの。そのセヴェリは警備隊の所属。
それでも、どことなく似ている二人の顔立ち。やはり兄弟だなと妹のアルベティーナが見てもそう思う。
「お兄さまたち、お仕事の方は?」
「殿下が気を聞かせてくれたんだ。休憩時間であれば、好きに何をしてもいい、ってな」
エルッキが笑って言った。エルッキの護衛対象は、この国の王太子殿下。つまり、次の国王である。
二人の兄は騎士服姿のままだ。それでも騎士の彼らにとってはこれが正装であるため、この場に参加するにあたってなんら問題はない。ただ、装飾の少ない実務用の騎士服というだけで。本来であれば式典用の騎士服もあるらしいのだが、残念ながらアルベティーナは兄たちのそのような格好を見たことがなかった。
「アルベティーナ嬢、どうか私と一曲踊っていただけませんか?」
エルッキが笑顔で手を差しだしてきたので、アルベティーナも「喜んで」とその手を取った。
「ティーナ。兄上の次は、俺だからね」
どうやら順番待ちができてしまったようだ。「人気者は辛いわね」と、エルッキに向かって呟けば、そんな妹が可愛らしいのか、彼はまた大人の笑みを向けてくる。
それでも、どことなく似ている二人の顔立ち。やはり兄弟だなと妹のアルベティーナが見てもそう思う。
「お兄さまたち、お仕事の方は?」
「殿下が気を聞かせてくれたんだ。休憩時間であれば、好きに何をしてもいい、ってな」
エルッキが笑って言った。エルッキの護衛対象は、この国の王太子殿下。つまり、次の国王である。
二人の兄は騎士服姿のままだ。それでも騎士の彼らにとってはこれが正装であるため、この場に参加するにあたってなんら問題はない。ただ、装飾の少ない実務用の騎士服というだけで。本来であれば式典用の騎士服もあるらしいのだが、残念ながらアルベティーナは兄たちのそのような格好を見たことがなかった。
「アルベティーナ嬢、どうか私と一曲踊っていただけませんか?」
エルッキが笑顔で手を差しだしてきたので、アルベティーナも「喜んで」とその手を取った。
「ティーナ。兄上の次は、俺だからね」
どうやら順番待ちができてしまったようだ。「人気者は辛いわね」と、エルッキに向かって呟けば、そんな妹が可愛らしいのか、彼はまた大人の笑みを向けてくる。