【受賞】隠された王女~王太子の溺愛と騎士からの執愛~
セヴェリはコンラードと幾言か言葉を交わしているようだった。
華やかな音楽に合わせて、他のデビュタントたちも踊っていた。ちらちらと視線を感じるのはアルベティーナがデビュタントだからではないだろう。むしろ彼女のパートナーがエルッキだからだ。
エルッキ・ヘドマン。年は二十六になったところであるにも関わらず独身。彼がなぜ独身なのかというのは、恐らくこの会場に姿を現しているご令嬢、ご婦人たちの話の話題に既にあがっていることだろう。そして、アルベティーナと踊り終えたところを見計らって、我こそはと声をかけるご令嬢たちがいるはずだ。
「ティーナ。ダンスも上手になったね」
「それは、エルッキお兄さまのリードが上手だからです」
お世辞ではない。コンラードのリードも悪くなかったが、エルッキの方が踊りやすい。これをコンラードに伝えたら、間違いなくがっかりすることだろう。
音楽が途切れたことを合図に、一度エルッキはアルベティーナの手を取ってダンスの輪から外れた。すかさず、アルベティーナの手をセヴェリがとる。
「セヴェリ。ティーナを任せたよ。父さん、ちょっと向こうで話をしませんか?」
エルッキが場所を変えようとしているのは、遠目から彼を狙っている令嬢たちから逃れるためだ。そして隣にコンラードがいれば、女性除けになることもこの兄は知っている。
華やかな音楽に合わせて、他のデビュタントたちも踊っていた。ちらちらと視線を感じるのはアルベティーナがデビュタントだからではないだろう。むしろ彼女のパートナーがエルッキだからだ。
エルッキ・ヘドマン。年は二十六になったところであるにも関わらず独身。彼がなぜ独身なのかというのは、恐らくこの会場に姿を現しているご令嬢、ご婦人たちの話の話題に既にあがっていることだろう。そして、アルベティーナと踊り終えたところを見計らって、我こそはと声をかけるご令嬢たちがいるはずだ。
「ティーナ。ダンスも上手になったね」
「それは、エルッキお兄さまのリードが上手だからです」
お世辞ではない。コンラードのリードも悪くなかったが、エルッキの方が踊りやすい。これをコンラードに伝えたら、間違いなくがっかりすることだろう。
音楽が途切れたことを合図に、一度エルッキはアルベティーナの手を取ってダンスの輪から外れた。すかさず、アルベティーナの手をセヴェリがとる。
「セヴェリ。ティーナを任せたよ。父さん、ちょっと向こうで話をしませんか?」
エルッキが場所を変えようとしているのは、遠目から彼を狙っている令嬢たちから逃れるためだ。そして隣にコンラードがいれば、女性除けになることもこの兄は知っている。