隠された王女~王太子の溺愛と騎士からの執愛~
 駒、というその表現に、アルベティーナの心はチクリと痛んだが、逆にこれを利用すればあのことも言い出せるかもしれないとも思った。
「でしたら、団長。私たちの思いは一致したわけです。団長は私という駒を手放したくない。私は騎士を続けたい。つまり、殿下の婚約者にはなりたくない」
「まあ、言い換えればそうとらえることもできるかもしれないが……」
 言い淀んでいるのは、ルドルフも何かしらアルベティーナの考えを悟ったからなのか。
「団長。私から殿下の婚約者としての資格を奪ってください」
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