隠された王女~王太子の溺愛と騎士からの執愛~
「ああ。確実に王族の血を引く子を産んでもらう必要があるからな」
「つまり、純潔を失った女性は、殿下の婚約者として相応しくない。そういうことですよね」
「っ……。ま、まさか、お前……」
「ちっ、違いますよ。一般的な話です」
 アルベティーナは顔を真っ赤に染めながら、否定の言葉を口にする。だが、恥ずかしくてルドルフの顔を見ることはできなかった。つまり、遠回しに「私は処女です」と彼に宣言してしまったようなものなのだから。いや、むしろ彼女がそうであることは、関係者には羞恥の事実ではあるのだが、それとこれはまた別のはなしだ。
 くくっと彼の笑う声が耳に届いた。アルベティーナは驚いて、顔を上げた。
「お前は相変わらずだな。そういうところにあいつは惹かれたんだろうな」
「だ、団長は。私が騎士をやめてもいいんですか?」
 アルベティーナは思わずそう聞いていた。笑われたことを誤魔化すためなのか、彼の気持ちに探りをいれたいからなのかはわからない。もしかしたら、自分の騎士としての価値を確認したかったからなのかもしれない。
「せっかく入団した女性騎士を手放すのは、やはり惜しい気もするな。それにお前は他の女性騎士と違い、融通も利く。まあ、俺からしたら都合のいい駒というやつだ」
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