【受賞】隠された王女~王太子の溺愛と騎士からの執愛~
「あれ? イリダルさん、虫刺されですか?」
「ん?」
「首のとこ。赤くなってます。痒くないですか?」
「あ、あぁ……。そうだね」
イリダルは戸惑いながら、指摘された首元を右手で触れていた。
「痒いなら、医務室から痒み止めの薬をもらってきましょうか?」
「あ、いや。大丈夫。そんなに痒くないし、我慢できるから」
「あまり掻かない方がいいですよ。傷になりますから」
「ああ、気を付けるよ」
二人は騎士の間に向かって歩き出した。
約束の日が来た。その日遅番だったアルベティーナの仕事が終わったのは、太陽が西のリシェール山にすっかりと沈み切った頃だ。騎士の間で後片付けをし、帰宅の準備へと取り掛かる。
「お疲れ」
「お疲れ様です」
一人、また一人と騎士の間から出ていき、帰路へつく。アルベティーナは先ほどから棚を開けたり閉めたりしていた。筆記具を取り出してみたり、しまってみたり、また別な筆記具を取り出したりと、意味の無い行動を繰り返していた。そうこうしているうちに、騎士の間に残っている騎士はアルベティーナだけとなる。
「ん?」
「首のとこ。赤くなってます。痒くないですか?」
「あ、あぁ……。そうだね」
イリダルは戸惑いながら、指摘された首元を右手で触れていた。
「痒いなら、医務室から痒み止めの薬をもらってきましょうか?」
「あ、いや。大丈夫。そんなに痒くないし、我慢できるから」
「あまり掻かない方がいいですよ。傷になりますから」
「ああ、気を付けるよ」
二人は騎士の間に向かって歩き出した。
約束の日が来た。その日遅番だったアルベティーナの仕事が終わったのは、太陽が西のリシェール山にすっかりと沈み切った頃だ。騎士の間で後片付けをし、帰宅の準備へと取り掛かる。
「お疲れ」
「お疲れ様です」
一人、また一人と騎士の間から出ていき、帰路へつく。アルベティーナは先ほどから棚を開けたり閉めたりしていた。筆記具を取り出してみたり、しまってみたり、また別な筆記具を取り出したりと、意味の無い行動を繰り返していた。そうこうしているうちに、騎士の間に残っている騎士はアルベティーナだけとなる。