隠された王女~王太子の溺愛と騎士からの執愛~
 彼によって蕩けたアルベティーナの身体は、すんなりと彼を受け入れる。
「だ、団長……」
「名前で呼べ、ルディと」
「ルディ……」
「ティナ、いい子だ」
 ルドルフが優しく笑んでから、耳朶を食む。
「ティナ、愛してる……」
 言葉と共にルドルフの身体が大きく震え、唇を重ねてくる。それはとても甘い口づけだった。
 彼の名残を感じながら、アルベティーナはぼんやりと彼の言葉を思い出していた。
(団長……。私を愛してると言ってくれたわ……)
 その言葉を反芻するだけでも、涙が溢れてしまう。
「泣いているのか?」
 別に声に出して泣いていたわけでもない。ただ黙って、自然と流れてくる涙に従っていただけ。にも関わらず、彼には気付かれてしまった。
「だって。幸せすぎて」
 ルドルフの言葉が信じられなかった。例え、閨事だけの偽りの言葉だったとしても、言われた事実が消えるわけではない。嘘でもいい。とにかく、その言葉を彼の口から聞けたことが嬉しかった。
 ルドルフがアルベティーナを抱く手に力が込められた。
< 142 / 231 >

この作品をシェア

pagetop