隠された王女~王太子の溺愛と騎士からの執愛~
「し、シーグルード、殿下……」
「おはよう、ティナ。身体の調子はどうだい?」
「あ。お、おはようございます」
(え、なんで殿下がここに?)
 シーグルードはにっこりと微笑むと、アルベティーナの方へと近づいてくる。
「昨日は、激しくしてしまったな。お前があまりにも可愛すぎて」
 アルベティーナの顎に手を添えたシーグルードは、唇を合わせる。
(え、なんで……)
 シーグルードの深い口づけを受けながらも、アルベティーナは昨日のことを必死で思い出そうとしていた。
「ティナ」
 唇を離したシーグルードが優しく笑む。だが、アルベティーナは彼がここにいることも信じられないし、彼からこのようなことをされたことも信じられない。
「で、殿下……。なぜ、ここに? それよりもここは? あの、団長は?」
「名前で呼べ、と言ったはずだが?」
「え? 名前?」
「忘れてしまったのか? ルディと。二人きりのときは、そう呼んで欲しい」
 ルディ――。
 昨日、ルドルフに抱かれたときに彼が口にした名前だ。それをなぜシーグルードが知っているのか。
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