【受賞】隠された王女~王太子の溺愛と騎士からの執愛~
「そうね、あなたの晴れ舞台ですもの」
アルベティーナがアンヌッカと話をしている間も、幾人かの男性が声をかけたそうに遠くから眺めている視線を感じた。だが、彼らが彼女に声をかけられないのは、その近くでコンラードがいて視線で威嚇していたからだ、との事実にアルベティーナ自身はそれとなく気付いていた。
「アルベティーナ嬢」
そんなコンラードの威嚇にも負けずと声をかけてきた勇敢な男が一人いた。
「で、殿下……」
その男はエルッキが護衛するシーグルード・ヴェイセル・グルブランソン王太子殿下――その人であった。金色の絹糸のような髪がシャンデリアの光によって反射している。彼が動くと髪もさらりと動いて、耳の先が見え隠れする。彼の口元が微笑むたびに、ダークグリーンの瞳も優しく輝く。
そんな彼に気付いて、コンラードがさりげなくアルベティーナに近寄ってきた。だが声をかけるようなことはせず、少し離れたところから見守っているようにも見える。
「アルベティーナ嬢、どうか私と一曲踊っていただけないでしょうか?」
まさか家族以外の男性からこのようにダンスを申し込まれるとはアルベティーナも思ってもいなかった。しかも相手はこの国の王太子殿下である。
(お父さま、お母さま、助けて――)
その意味を込めて、アルベティーナがコンラードとアンヌッカの顔を見ると、二人は力強く頷いていた。つまり、踊ってきなさい、と両親は言っている。
アルベティーナがアンヌッカと話をしている間も、幾人かの男性が声をかけたそうに遠くから眺めている視線を感じた。だが、彼らが彼女に声をかけられないのは、その近くでコンラードがいて視線で威嚇していたからだ、との事実にアルベティーナ自身はそれとなく気付いていた。
「アルベティーナ嬢」
そんなコンラードの威嚇にも負けずと声をかけてきた勇敢な男が一人いた。
「で、殿下……」
その男はエルッキが護衛するシーグルード・ヴェイセル・グルブランソン王太子殿下――その人であった。金色の絹糸のような髪がシャンデリアの光によって反射している。彼が動くと髪もさらりと動いて、耳の先が見え隠れする。彼の口元が微笑むたびに、ダークグリーンの瞳も優しく輝く。
そんな彼に気付いて、コンラードがさりげなくアルベティーナに近寄ってきた。だが声をかけるようなことはせず、少し離れたところから見守っているようにも見える。
「アルベティーナ嬢、どうか私と一曲踊っていただけないでしょうか?」
まさか家族以外の男性からこのようにダンスを申し込まれるとはアルベティーナも思ってもいなかった。しかも相手はこの国の王太子殿下である。
(お父さま、お母さま、助けて――)
その意味を込めて、アルベティーナがコンラードとアンヌッカの顔を見ると、二人は力強く頷いていた。つまり、踊ってきなさい、と両親は言っている。