【受賞】隠された王女~王太子の溺愛と騎士からの執愛~
「これからのグルブランソンとマルグレットには必要なことだったんだ。あのバカたちをきちんと捕まえておかないと、また同じようなことが起こる。それだけは絶対に避けたいと思っていた」
「はい……」
 アルベティーナが包み込んでいるカップの表面が波打っているのは、彼女が少し震えているからだ。それに気付いたシーグルードは、ひょいとアルベティーナのカップを奪い、彼女を抱き寄せた。
「辛い思いをさせて、悪かった」
「いえ。どちらかというと、驚いています。血の繋がった家族はいないと思っていたから……」
 アルベティーナは目を伏せる。
「そう思わせてしまったのも、私たちのせいだ」
「ですが、私のことを思ってしてくださったことですよね……」
「寂しい思いをさせた」
 耳元でシーグルードが囁く。彼の吐息が、耳に触れる。
「いえ。ヘドマンのお父さまも、お母さまも。エルッキお兄さまもセヴェリお兄さまもいらしたから、寂しいと思ったことはありません」
 そこでアルベティーナは顔をあげ、シーグルードに視線を向けた。じっと彼のガークグリーンの瞳を力強く見つめる。アルベティーナはシーグルードのこの瞳が好きだった。ルドルフとして一緒にいたときも、シーグルードとして一緒にいるときも、この瞳だけはかわっていない。
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