【受賞】隠された王女~王太子の溺愛と騎士からの執愛~
 その後、シーグルードと顔を合わせることもなく、今日という日を迎えてしまった。
「イリダルは……。まあ、あれだな。女遊びがたたって、金が無くなったというのが原因だ。それを知ったドロテオが、金をちらつかせて護衛に雇ったようだ。もちろん、こちらからの情報もドロテオに流していたんだろうな」
「そうですか……」
 短い間とはいえ、共に仕事をこなした仲だ。彼の今後が気にならないと言ったら嘘になるし、イリダルには特に何かをされたわけではない。
「だから、私たちもイリダルには気を配っていた。あの日、ヘドマン伯を騎士団の方で呼び出したのは、イリダルに警戒するようにと事前に伝えるためだ。君もそうだが、もしかしたら夫人が狙われる可能性もあったからね」
 ようするに人質だ。『強暴姫』と呼ばれるアルベティーナ一人を狙うよりも、アンヌッカも狙った方が、こちらの動きを制限できると考えるにちがいない。
「あの日、エルッキが君を迎えに行くと、君の屋敷から怪しい馬車が出ていくところだった。本当はその場で取り押さえることもできたが、マルグレットの奴らをあぶり出すいい機会であるとも思った」
 だからあのとき、シーグルードは口にしたのだ。囮にするような形にして悪かった、と。
「アルベティーナが私の婚約者として内定したことで、その本当の姿を見せてくれるようになった。だから、あいつらが動くことはわかっていた。アルベティーナにはマルグレットの前王の娘という噂も立ったからね。それを利用しようと思った」
「はい……」
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