【受賞】隠された王女~王太子の溺愛と騎士からの執愛~
アンヌッカから悲鳴のような声が漏れたのは、アルベティーナの真っ白だったはずのドレスと彼女の投げ出しただらしのない格好を見たからだろう。
「ティ、ティ、ティーナ。あなた、一体……」
ふらりと馬車の中でバランスを崩して倒れ込みそうになるアンヌッカの身体をコンラードがそっと支え、アルベティーナの向かい側にゆっくりと座らせた。
「ごめんなさい、お母さま……」
アルベティーナが言える言葉はそれだけだった。
カタッと馬車が動き出す。このまま別邸へと向かうはずだ。
言い訳でもするかのように、ぽつぽつとコンラードが言葉を紡ぎ出す。
「はぁ」
ヘドマン伯の話を聞き終えたアンヌッカは、大きく息を吐いた。それがアルベティーナの身に染みる。
「これでは、あなたの貰い手がいなくなってしまうじゃないの……」
やはり彼女は、アルベティーナの嫁入り先を案じていたようだ。
「その件については心配ないだろう。なぁ、ティーナ。君は、エルッキとセヴェリ、どちらが好きかな?」
コンラードが突然そんなことを口にしたため、アンヌッカが「あなた」と声を荒げた。だが、彼の顔が真剣そのものだったため、彼女はそれ以上の言葉を飲み込んで唇を真一文字に結んでいる。アルベティーナは目の前の両親のそんなやり取りを、首を傾けながら見つめていた。
「ティ、ティ、ティーナ。あなた、一体……」
ふらりと馬車の中でバランスを崩して倒れ込みそうになるアンヌッカの身体をコンラードがそっと支え、アルベティーナの向かい側にゆっくりと座らせた。
「ごめんなさい、お母さま……」
アルベティーナが言える言葉はそれだけだった。
カタッと馬車が動き出す。このまま別邸へと向かうはずだ。
言い訳でもするかのように、ぽつぽつとコンラードが言葉を紡ぎ出す。
「はぁ」
ヘドマン伯の話を聞き終えたアンヌッカは、大きく息を吐いた。それがアルベティーナの身に染みる。
「これでは、あなたの貰い手がいなくなってしまうじゃないの……」
やはり彼女は、アルベティーナの嫁入り先を案じていたようだ。
「その件については心配ないだろう。なぁ、ティーナ。君は、エルッキとセヴェリ、どちらが好きかな?」
コンラードが突然そんなことを口にしたため、アンヌッカが「あなた」と声を荒げた。だが、彼の顔が真剣そのものだったため、彼女はそれ以上の言葉を飲み込んで唇を真一文字に結んでいる。アルベティーナは目の前の両親のそんなやり取りを、首を傾けながら見つめていた。