【受賞】隠された王女~王太子の溺愛と騎士からの執愛~
 兄に連れられた入った部屋は、誰かの執務室のようだった。床にはブラウンの絨毯が敷き詰められ、壁はホワイトリリーでどこか落ち着いた色合いで統一された部屋。おかれている家具なども、ブラウンで統一されている。大きな執務用の机が、高い位置にある窓を背に置いてある。恐らくあの窓から外の光を取り入れているのだろう。窓の位置が高いのは、外からの襲撃に備えるためだと思われる。外から見た時に、死角になるような場所に執務席があるのだ。
 その執務席の前には、すでに四人の女性騎士が横一列に並んでいた。そこの一番端に並ぶようにとセヴェリが促す。
「これで全員、揃ったようだな」
 どうやらアルベティーナが最後だったらしい。少しだけ肩身が狭い思いをするものの、執務席を挟んで前に立つ男を見上げた。
「グルブランソン王国騎士団への入団を歓迎する。私は王国騎士団団長を務めるルドルフ・トルスタヤ」
 トルスタヤと言えば、トルスタヤ公爵。現王の弟。つまり、目の前のルドルフという男は、そのトルスタヤ公爵の息子なのだろう。チャコールグレイの髪に、ダークグリーンの瞳が印象的である。
 彼から歓迎の言葉を受けた女性騎士たちは、それぞれの配属へと向かった。女性騎士たちの中でも一番年下のアルベティーナは、セヴェリが言っていた通り警備隊への配属となった。
「ティーナ。シーグルード殿下にも挨拶に行くぞ。警備隊は殿下の直轄だからな」
 王国騎士団は、それぞれ王族が勅令で動かせるようになっている。この場合、シーグルードが状況をみて動かすことができる騎士が警備隊とのことである。国王はもちろん騎士団そのもの。そして驚くべきことに、この警備隊に配属された女性騎士がアルベティーナのみであり、他の女性騎士は近衛騎士隊への配属であった。
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