【受賞】隠された王女~王太子の溺愛と騎士からの執愛~
 それでもアルベティーナは、無性にルドルフに会いたかった。もちろん、今日の報告書を仕上げて提出するという名目はあるが、それ以外に一昨日の件を謝罪したかったからだ。あれは礼を言うというよりは、むしろ謝罪案件であると思っていた。
 アルベティーナは劇場から王城までの道のりをとぼとぼと歩いていた。騎士であるならビシッと歩けと言われそうだが、今はそれを咎める者もいない。皆、自由に話をしながら王城へと向かっている。その集団の一番後ろに彼女はいた。王城に近づけば近づくほど、アルベティーナの足取りは重くなる。前の集団から、少しずつ離されていく。
(団長に会いたいけれど……。やっぱり、会いたくないかもしれない……)
 相反する気持ちがアルベティーナの心の中をぐるぐると支配していて、その気持ちが足取りを重くさせているのだ。
「ティーナ」
 そんな彼女を心配したのか、声をかけてきたのはセヴェリだった。
「どうした? 疲れたか? やっぱり、今日の任務は断った方がよかったか? その……、一昨日のあれもあったばかりだったし……」
「いえ、問題ありません」
「すまないな。女性が一人しかいないから、どうしても『女性』という指定が入ってしまうと、お前を指名するしかなくて。お前には負担をかけるな」
「それが私の仕事ですから」
 アルベティーナが答えると、セヴェリは目を細めて優しく微笑んだ。
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