【受賞】隠された王女~王太子の溺愛と騎士からの執愛~
「真っすぐ帰ってもよかったんだぞ?」
「報告書を仕上げたいので」
「そんなの。明日でもかまわないし、イリダルに任せればいいだろう」
報告書を『そんなの』と言い切ってしまっていいのだろうか。だが、言葉の節々からはセヴェリがアルベティーナを思いやる気持ちが溢れていた。
「でも、すぐそこですから。せっかくここまで戻ってきたので、報告書を提出してから帰ります。それに、私には報告書を書く練習も必要だって、団長からは言われてるので……」
「この時間なら、団長は執務室にいるぞ。不在の時は、扉のポケットに入れておけばいい」
セヴェリの言葉でアルベティーナは、ルドルフの執務室の扉に書類などを入れておくための箱のようなものがぶら下げられていることを思い出した。それが彼の口にしたポケットである。事務官に手渡すという方法もあるのだが、勤務時間が不規則な騎士たちが、好きな時間に報告書を提出できるようにと、配慮の一つであるらしい。そこから他人の報告書を盗むような人物がいるのではないかと疑われそうであるが、そうならないような対策もしっかりとられているところがルドルフらしいとも思えた。
どこか神経質そうな視線。だけど、時折見せてくる優しい笑顔。任務中に見せる鋭い眼光。それでもあのとき、アルベティーナを見つめる瞳はとても穏やかなものだった。ルドルフが見せつけてくる二面性。それがアルベティーナの心を捕らえて放さない。
「報告書を仕上げたいので」
「そんなの。明日でもかまわないし、イリダルに任せればいいだろう」
報告書を『そんなの』と言い切ってしまっていいのだろうか。だが、言葉の節々からはセヴェリがアルベティーナを思いやる気持ちが溢れていた。
「でも、すぐそこですから。せっかくここまで戻ってきたので、報告書を提出してから帰ります。それに、私には報告書を書く練習も必要だって、団長からは言われてるので……」
「この時間なら、団長は執務室にいるぞ。不在の時は、扉のポケットに入れておけばいい」
セヴェリの言葉でアルベティーナは、ルドルフの執務室の扉に書類などを入れておくための箱のようなものがぶら下げられていることを思い出した。それが彼の口にしたポケットである。事務官に手渡すという方法もあるのだが、勤務時間が不規則な騎士たちが、好きな時間に報告書を提出できるようにと、配慮の一つであるらしい。そこから他人の報告書を盗むような人物がいるのではないかと疑われそうであるが、そうならないような対策もしっかりとられているところがルドルフらしいとも思えた。
どこか神経質そうな視線。だけど、時折見せてくる優しい笑顔。任務中に見せる鋭い眼光。それでもあのとき、アルベティーナを見つめる瞳はとても穏やかなものだった。ルドルフが見せつけてくる二面性。それがアルベティーナの心を捕らえて放さない。