【受賞】隠された王女~王太子の溺愛と騎士からの執愛~
 彼の態度を見たら、誰だってそう思うだろう。
「気持ちだけ受け取っておく。猫の手も借りたいというのが本音だ。だが、お前だけは駄目だ……」
 ルドルフは顔をあげずにしっしっとその猫でも払うかのように右手を振った。
(私だけは駄目って……。どういう意味かしら……)
「先ほども言ったが、お前はあの事件の功労者だ。本来であれば、もう少し休暇を与えたいところだった。だが、今日の警備は向こうからのご指名でな。どうしても女性が必要だった。だから今日はさっさと帰れ」
「ですが……。団長が……。書類の仕分けくらいでしたら、私も手伝えます。向こうでは、そうやって父の仕事を手伝っておりましたので」
「これは俺の仕事だ。それでもお前の気持ちは有難い。だから気持ちだけもらっておくと言ったんだ。いいから帰れ」
「ですが……」
 アルベティーナが素直にルドルフの言葉を受け取れないのは、彼が顔をあげてくれないからだ。先ほど見た彼の顔には、疲労の色が濃く表れていた。あの騎士の間にいた騎士の人数がいつもより少なかったのは、例の尋問が続いているからだろう。そして、続々とあがってくる報告書。それをルドルフが一人で確認しているに違いない。さらに、こういった部下たちからの報告書も確認し、今後の警備配置等も考える。それが彼の仕事であることはわかっているのだが。
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