真実の愛〜真逆の二人〜

第一章 コイツとカップル!?

| 一人の少女が、七海学園高校の前に立っていた。何か、ブツブツ呟いている。
 ドキドキする。私は中西笑菜。今、七海学園高校の前で、手のひらに「人」の字を書いて飲み込んだり、緊張が和らぐおまじないを唱えたりしている。ああ!知らない男と、同居なんていくら何でも無理ー!

 「この高校で、頑張ってくれないか、笑菜」慎重な顔をした父、中西 智が、私に問いかける。「うん・・・」私は自信なさげにうなずく。うち、中西家は、父、中西 智がサラリーマン、母、中西 英子が公務員の普通の家庭だ。ここまでは普通なのだが、子供の数が普通じゃない。中西家には、子供が、私をふくめ、六人いる。長男の蒼、長女の私、次女の奈子、三ッ子の千歳、美兎、玲、こんな感じで、とても 子だくさんなのだ。それに、拾ってきてしまった、犬のコタロー、ニル、テルルンもいるのだ。だから中西家は、十一人家族。とても大変だ。だから、父が会社で同僚に聞いた、七海学園高校に入学させられそうなのだ。それにしても、私も七海学園高校はすごいと思う。だってセブンオーシャンの社長が学園長なのだもの。それに、世界一のカップル、金の夫婦の卵(ゴールデンカップル)になると、お金がたくさんもらえるから。だから、財政がピンチな、中西家にはうってつけなのだ。
「今のままいくと、貯金も尽きてしまうんだ!」父は、必死に訴えてくる。さすがにここまで言われたらなぁ「わかったよ!いくよ!七海学園に!」私は、威勢のよい返事をしてしまった。「ヤッタァ。じゃあよろしくな。笑菜」父は、やりきった!という顔をしている。「・・・」ヤバイ!でもがんばるしかない。

そう決めて今ここにいるのだ。私は覚悟を決めて門をくぐった。
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