俺様男子はお気に入りを離さない
それからしばらく数学の勉強をして、次に苦手な英語の勉強にとりかかる。

単語は繰り返し書いて覚えるとして、長文読解問題が苦手なんだよね。

これまたうむむと頭を悩ませていると、横から御堂くんの指導が入る。
御堂くんってば、数学だけじゃなくて英語もできるんだ。
すごいなぁ。

「――それで、って芋子聞いてんのか?」

「えっ、あっ、はい」

「また俺に見とれてただろ」

「み、見とれてなんかないよっ」

本当は見とれてたけど。
だけどそんなこと言えるわけない。
私はドキドキする胸を落ちつかせるためこっそりと深呼吸した。

「御堂くんは英語も得意なんだね」

「コツさえつかめば簡単だろ?」

「コツじゃなくて頭の出来が違うと思うんだけど」

思い起こせばテスト結果の順位が貼り出されるとき、いつも御堂くんの名前は上位に入っていた。
そんな御堂くんに教えてもらっているなんて、もしかしてものすごく贅沢なのでは?

でも私に教えてばかりで御堂くんは自分の勉強をしなくていいのだろうか。

「あの、御堂くんは勉強しなくていいの? その、なんていうか、私に教えてばかりじゃ勉強進まないよね?」

「芋子に教えることも勉強になるからいいんだよ。それに芋子に教えてる方が楽しいしな」

不敵に笑う御堂くんは素直にかっこよくて、本当にどうして私なんかに構ってくるのか未だにわからないけど。

それでもこの時間がすごく嬉しいと感じる。
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