俺様男子はお気に入りを離さない

御堂くんってもっとがさつなイメージだったけど、教え方はとても丁寧で優しい。

本当に私のことを思って教えてくれているんだと思うと俄然やる気がわいた。
というか、しっかりやらないとせっかく教えてくれている御堂くんに申し訳ないし。

と思って集中するんだけど、どうにもさっきのことが頭にチラチラと浮かんで気がそぞろになる。

さっきのことって、その、あれだよ。

――キス。

なんでキスしたんだろう?

私は初めてだったんだけど……。
もしかして御堂くんはこういうことに慣れてる?
もしかして、もしかしてだけど、親衛隊とか取り巻きさんたちにも気軽にこんなことをしていたり?

え、御堂くんって実は軽い人だったり?

あ、あれか。
海外生活でそういうスキンシップに慣れてるとか。
そんな感じ?

……海外生活してたのか知らないけど。

「――芋子、おーい、芋子」

「はっ、はいっ!」

「お前マジでおもしれー。さっきから百面相になってるぞ」

クックと笑う御堂くん。

私はとたんに恥ずかしくなってカアアっと顔が熱る。

やばい、考え事しすぎてやばい子になってたみたい。
落ち着け私。
深呼吸、深呼吸。

「み、御堂くん……」

「ん?」

「な、なんでさっき……キスしたの?」
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