悪魔と私


「え…?」悪い人では無さそうだと思い直し、慌てて謝る。


「ああ…彼らのことか。連れだって?とんでもない。あれは魔界で凶悪な犯罪を犯し、逃げた逃亡犯だ。
貴女はきっと、騙されているんだ」



クロード達が、犯罪者…?

今まで、騙されていただけ…?

何を言ってるの?この人…


「そんな筈は…だって、彼らは私を助けてくれたし、それに…私の過去も知っていた!何かの間違いではないですか!?」

「過去…?」


ライトは訝しげに訊ねる。


「はい…。私、記憶を失ってしまったんです…。ラリーフの花と言って、香りをかいだ人の、一番大切な記憶がなくなってしまう、魔法の花らしいんですが…。誤ってかいでしまったらしいんです。悪魔なら誰でも知ってるって。…知ってますか?」

「知ってるも何も、あの禁忌の花なんて、知らないものは居ないよ。でも…誤ってかぐなんて事は、まずありえない。魔界で厳重に管理されてるはずだからね」

「そんな…じゃあ、クロたちは嘘を吐いていたって事ですか…?」


でも、それだったら何で私なんかを…。

この人、本当に信じていいの?


アイルの中に、少しの疑惑が生まれる。



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