悪魔と私
「はい…じゃなくて、うん…!」
(やっぱり、私が無くした記憶って、この人のことだったんだ…)
「それで、話は変わるが、記憶だが…心当たりはないか…?」
「あっ…私、森で遊んでて、花の香りをかいでみたの。」
私は息をついで、また話し始めた。
「それが、ラリーフの花っていって、香りをかいだ人の一番大切な記憶と、それに関係する記憶を失わせる効果があるらしいの。
それをかいじゃったみたいで、記憶を無くしたんだって言われた」
それを聞いてクロードが少し顔をしかめた。
「言われたって…誰に言われたんだ?」
「森の中の小屋に住んでる、5歳くらいの男の子。私が森
で倒れたのを、助けてくれたの」
「そうか…なら、そいつに聞けば記憶が戻る方法が分かるかもな。ちょうど、今日はそのぼうずのところへ行くと、昨日ルーゼと決めてあったからな」
「え…?ルーゼって…。連れが、いるの?」
私は記憶をたどらせたが、女王の城では、クロのほかには誰もいなかったはずだ。