意地悪王子には騙されない。
そっと頬を両手で包まれる。

まだ涙の残った瞳が、まん丸になりその愛らしさに李音はまた翻弄される。


そして……柔らかい唇同士が、重なり合った。


李音「真優の泣き顔、本当堪んない」

真優「へっ?え、ええっ……?」

李音「もーま〜ちゃんはフラレちゃったから、僕のもんでいいってことだよね?」

真優「な、なんで、キスっ……!?」

李音「さぁなんでだろうね。悲しそうな顔してたからじゃない?もっとしてあげようか?男の傷は男でしか癒せないよ?」

真優「っ……!!結構です!!」


バッと李音の胸を押して、できるだけ距離を取る。


真優「も、もう大丈夫だから、心配してくれてありがとうっ……」

李音「ううん、心配とかしてない」

真優「え?」

李音「正直どーだっていいよ?ま〜ちゃんの恋愛事情。女が泣いてようがなんも思わない。ただ……からかい甲斐があるでしょ?」


にっこり微笑む李音に、ゾッとする。


真優「ひ、ひどいっ……もういいよ、私学校行ってくるから降ろして!」

李音「だーめ、ほら大人しく座って」

真優「きゃっ」


李音に腕を引かれて膝に座らせられる。

お腹に腕が回っていて、離れることが叶わない。


真優「や、やだやめて……!!」

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