貧乏×御曹司は毎日が驚きで
【秘密:side柊馬】

家に帰ったら紅羽がいる

そう思うだけで俺の気分は高まる

俺は初めて会ったあの日からアイツが紅羽がずっと気になって仕方ない

俺の家は雲竜グループという大きな企業で俺はいわば御曹司だ

2人兄弟で俺は弟だから、後継者は生まれた時から兄に決まっている

それなのに父親はいつも兄と俺とを比べては「出来損ないだ」「雲竜家の恥だ」「お前などいらん」といつも罵倒していた。

どんなに頑張っても、努力しても兄には勝てない

スポーツも勉強も何一つ冴えない俺は自信をなくし、父さんも兄だけを可愛がっていた

母さんも使用人も父さんに逆らうことは許されないため、段々と俺は誰からも相手にされなくなっていった

だが、成長し中学生くらいになった頃だった

誰からも相手にされてこなかった俺の人生は一変し街を歩くだけで黄色い声援が飛び交うようになった

そう誰も予想していなかっただろう。

まさかの
俺は高身長、綺麗なぱっちりと食い込んだ二重に高い鼻、透き通るような綺麗な肌に薄く血色の良い唇。

誰もが羨むルックスに成長したのだ

最初は兄さんに唯一勝てるものが俺にもあったんだと喜んだだが

顔目当てで寄り付く女ばかりでうんざりだった

誰も俺を相手になんてしてこなかったのに、母親も使用人も街行く人もみんな俺をうっとりとした目つきで見つめる

俺を今まで放って置いたくせに

心底こういう時の女の目が俺は嫌いになっていった

俺の顔を見て惚れない女はいない

金を渡して遊びに来ない男はいない

俺はルックスと金の両方を持ち合わせていたが、そんなことをしなければコイツらと繋がりを持てないことが虚しくてバカらしくなった。

もし、このルックスがなければ

もし、お金持ちじゃなければ

この人達は一瞬で間違えなく俺の元から離れていく、また元通り誰にも相手にされない生活を送るのだろう

俺自身を見てくれる人は一生いないのだろうか

そう思ってた時だった。

超正確なマッチングシステム、デステニーを使って決められた相手と結婚を目指す七海学園の存在を知った

俺を最初から知らない人と出会えることは俺にとって本当の愛を見つける大チャンスだった

心の底から俺を大切に思ってくれる人を俺も大切にしたい

誰からも愛されなかった俺にとって最高に魅力的なシステムだ

だけど最初に俺のルックスを見てしまったら自惚れ過ぎかもしれないけど好きにならないはずが無い

そう思って俺は長く伸ばした前髪で顔を半分隠し、メガネもかけた

鏡で見てみるとダサすぎてお世辞でもいいとは言えない見た目に俺は大満足だった

もしこの見た目で俺のことを好きになってくれたら....

俺は小さな期待を胸に入学を決意した

入学式当日、前髪が邪魔すぎて視界が悪い

これで歩くのは流石にキツいなと思っていると

ドンッ.....!!

あぁ、案の定ぶつかってしまった

大体の女は、わざとぶつかって俺に触りたがるか、色目を使って連絡先を交換しようという魂胆だ

あっ、俺は長い髪の毛の隙間からぶつかった相手の顔を見て思い出す

このギャルの人たち、一度だけでいいから俺と遊んでといつも待ち伏せしてはしつこくつきまとってきた

「ねぇ君どこ見て歩いてんのぉ??」

「もしかしてウチらにわざとぶつかったんじゃないよねぇ?」

これがコイツらの本性か....

見た目が変わるだけでこの反応

中身は1ミリも変わっていないのに

俺は流石に驚きとショックでその場をすぐに立ち上がれなかった。

そんな時、紅羽が現れた。

俺を庇って手を引いてくれる姿は、可愛いくてカッコいいヒーローで

紅羽は、俺がどんな見た目をしていても変わらぬ対応で助けてくれたと思う

逆に俺でなくても助けていたはずだ

困っている人を放っておけない。アイツはそういう人間だ

だからあの日からずっと紅羽のことが気になる

初めて俺を見てくれた人

でもアイツは俺に興味がないのだと思うだけでいつになくイライラして冷たい態度をとってしまう

本当は優しくしたいのに

今回の喧嘩も俺が原因だ。

知らない男にあんな笑顔みせるから

朝ご飯だって食べれば分かる

お前の作った料理の味じゃないことくらい

でもこれもあれも全部嫉妬だから

今日こそは帰って素直に謝ろう

そう思っていたのに帰ると電気はついているが部屋は静かで人気がない

靴を脱いで部屋に上がろうとした時だった。

アイツの靴が無い

俺は焦って電話をかける

「ブーッブーッ」

嘘だろ....何故かリビングの机の上で紅羽のスマホが鳴っている

スマホも持たないでどこに行ったんだよ

今まで留守にしていたことは無かったし、アイツのことなら出かける前に声をかける

もしアイツに何かあったら俺は...

雨の中紅羽を探しに再び玄関のドアを開けた


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