夫が「愛していると言ってくれ」とうるさいのですが、残念ながら結婚した記憶がございません
 だが、眩しかったのは太陽だけではなかった。太陽の光を反射させた何かも眩しかった。
 そして今、夕焼けを反射させた何かが、橙色に怪しく光っている。
「ランス」
 シャーリーは、怪しい男とランスロットの間に身体を滑り込ませる。
「シャーリー」
 だが、小さな彼女の身体はランスロットの大きな体によって包み込まれた。
「うっ……。くそっ」
 ランスロットは、シャーリーを庇いながらも、大きく足を振り上げた。背の高い彼は、足も長い。さらに、騎士が履くブーツは任務や作業のために作られた頑丈なブーツである。つまり、硬い。
 ランスロットの蹴りは、襲ってきた男の側頭部に、見事命中する。
「団長、ご無事ですか」
 複数の足音が、近づいてきた。
「ああ、俺は大丈夫だ。それよりも、そいつを拘束しろ」
 ランスロットは顔をしかめた。
「ランス。血が出てる」
 シャーリーはランスロットのクラバットを外すと、それで彼の左腕をきつく縛り上げる。
「すまない、シャーリー。だが、今日は君を守ることができた」
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